手塚治虫著「手塚治虫「戦争漫画」傑作選」

手塚治虫「戦争漫画」傑作選 (祥伝社新書)










タイトルに括弧が使われているので表記法を悩みましたが、今までと同じようにしたためちょっと見づらくなっています。

新書で出版された、手塚治虫が描いた戦争関連の漫画集です。2もあるので近いうちに読もうと思っています。


短編集のような形なので、複数の話が存在しているのですが、大寒鉄郎というキャラクターはスターシステムか地続きか、2回登場します。

基本的には戦争の悲惨さを直接訴えるのではなく、間接的に訴えるもの。

漫画や絵描きが戦争により不遇になったり、戦争時代の人々を描いた作品が中心です。


氏の漫画全般がそうですが、説教臭く行くのではなく「こんな戦争があるばっかりに・・・」という一歩引いたところからの表現が逆に心に刺さります。

なので作中では戦争の批判ではなく、戦争の悲惨さ(絵描きが虐げられる、空襲の悲惨さ、戦後の混乱など)が描かれてます。


ちょっと異色なのが、「処刑は3時におわった」。これは作品の中でも少し前に描かれたものですが、戦争ものというよりSFものです。

アイデア一発の背景に戦争を使っている感じです。


個人的に好きなのは、「大将軍 森へ行く」。

割とよくある話なのですが、後読感も含めてさっと風が吹き抜けるような漫画でした。


新書なので大変読みやすいのがさらに好印象の本書です。