漫画メモとか

漫画の感想を書いてみたり。 割と何でも読むので、感想希望なものがあったら教えてください。読めたら読みます。

短編集

吉田悠軌著「一行怪談」

吉田悠軌著「一行怪談」

一行怪談 (PHP文芸文庫)

 








驚くことに、1行で成り立つ怪談。
タイトルそのままですね。

ツイッターなどで流れているような、センスのいい1行の話。これの集合作品となっています。
ドストレートな作品から、一瞬何のことかわからないような、ちょっと考えることが必要なものまで。

この作品はネタバレするとそれ自体が作品そのものなので書けないのですが。

PHP研究所で発刊記念のコンテストをやっていて、そこにも作品があがっているのでこちらも見ると面白いかもしれません。

https://www.php.co.jp/news/2017/09/kaidan.php


一行怪談 (PHP文芸文庫)
吉田 悠軌
PHP研究所
2017-07-11


石川雅之著「週刊石川雅之」

石川雅之著「週刊石川雅之」

週刊石川雅之 (イブニングコミックス)




もやしもんで有名な石川雅之氏の初期作品集。
調べたらもやしもんの2年前に描かれています。

もやしもんもマニアックネタながら、不思議な化学反応、というか発酵でヒットしましたが、こちらはネタの方向性としては片鱗は出ていません。

ただ、キャラの描き方や独特な表情の使い方はこの辺りからもうあります。

ネタとしては週刊を名乗るためのオムニバス形式であり、全話単独です。構成から思い付いたのか、作品にしてみると読後感だけの逃げ切りみたいなものもありますが、これだけは言えます。

一週目の作品を予備知識無しで読んでください。

読者の読み取り導線とかを上手いことコントロールしてます。
これぞ、THE短編。
手放しで最高です。

他の話もこのレベルを期待してしまったので、物足りない感があるのだと思います。

あと、この作者の荒い感じのジーンズみたいな女性が結構好きです。



ふみふみこ著「恋につきもの」

ふみふみこ著「恋につきもの」

恋につきもの (リュウコミックス)










ドラマ化にもなってる、恋につきものも収録されてる短編集。

全く知らず、全く期待せずに読んだのですが、正直驚きました。作品の短編としての完成度合いと、作者としての顔、作風が出ている感がとてもいいです。

サブカル全力で始まったかと思えば、ちょいSF もある。

豆腐の家で綺麗にやられ、ほかの作品群の自由奔放さに持っていかれた感じです。

行間を使っての表現、あえて行間を使わない表現。漫画としての表現の使い分けが上手い。
完全に狙って構成してるのだと思いますが、これナチュラルにやってるのだとしたら天才系かも。

とにかく漫画を描くことが手慣れてるという感じ。読んでいて変な違和感がない。

考察も要らないくらい上手いこと仕上がってるので、読んで貰った方が早いと思います。

ただおっさんの話は他の作品の続きっぽいので、理解が追い付かないまま進んで終わります。



恋につきもの [DVD]
松本花奈
アミューズソフトエンタテインメント
2014-10-29


斉藤由美著「宇宙の瓶づめと猫と箱庭」

斉藤由美著「宇宙の瓶づめと猫と箱庭」


宇宙の瓶づめと猫と箱庭 (『このマンガがすごい!』大賞シリーズ)









「このマンガがすごい!」大賞と「天才」の煽りがあったのでちょっと期待しすぎました。

上記以外の予備知識がない状態で読んだので、本の読み方もわかっていなかったのですが、基本オムニバス形式。


最初に登場する大賞受賞の「箱」。これはかなり良かったです。

古典SFとライトを掛け合わせたような、「読者に想像させる範疇」と話のスピード感。


たぶん、詩集のような断片的な感じを漫画で表現しようとしているんだと思います。

が、最初の箱以外は「作者が思いついた世界観を見てよ」といった感じが全面に出ている割に「これがあれば創造できるでしょ」という気配が凄くする。

そういう意味で「箱」の物語には近く、世界観は引いて出している雰囲気がほかの作品にもあったらな、と思いました。


自分で書いていて思ったんですが、行間のある詩集のような読み方すれば、また違った読み方ができるんだろうか。

次読むときはそうしてみよう。




野田彩子著「わたしの宇宙」

野田彩子著「わたしの宇宙」


わたしの宇宙 1 (IKKI COMIX)









1,2巻で完結の漫画なんですが、帯に天才の文字が。

まあ帯ってあおるよねーと思って読んだんですが、感想としてはこの作者天才でした。

たまに才能だけ天才で収束性がない人がいますが、漫画としての落としどころを最初から計算してるようにも見えるので、

要するに才能をコントロールできている系の天才な気がします。


以下、ネタバレ注意。



もう最初からネタバレ注意が出ましたが、気になる人はそのまま読んでもらった方がいいかも。

まったく無情報で読み始めたので、先入観なく読めました。


登場人物はアリスの視点で描かれているのですが、主人公は宇宙(人名)。

そして登場人物が「世界が漫画になっている」ことに気が付くところからスタートします。

漫画の技法と登場人物の「登場人物としての」葛藤を軸に話は進んでいくんですが、

主人公であるはずの宇宙は割と登場しません。やっぱりアリス視点で描かれていきます。


それもそのはず、登場人物は自分の存在意義を考えながら、ついに創造主までたどり着く。

が、そもそもそこも漫画の表現で描かれているということは、漫画の中。


哲学的なテーマや流れの中で、漫画という表現を最大限に使ったメタ遊び。

途中で挟まれる4コマや、思わせぶりな教師を見る限り、好き勝手詰め込んだのかな、と思うんですが、

「通常の漫画に存在する、だんだん見えてくる世界」とは違い「だんだん見えなく(推測できなく)なっていく世界」のための配置に見えます。


とりあえず読んでない人は騙されたと思って読んでみてください。

フキダシが刺さりますよ。


わたしの宇宙 1 (IKKI COMIX)
野田 彩子
小学館
2013-08-30