漫画メモとか

漫画の感想を書いてみたり。 割と何でも読むので、感想希望なものがあったら教えてください。読めたら読みます。

戦争もの

李學仁原作、王欣太作画「蒼天航路」

李學仁原作、王欣太作画「蒼天航路」



三国志の漫画は数あるけど、曹操を主人公にしたのはこちらが初めてかも。そして相当魅力的に書かれている作品。

もともと三国志の世界では劉備=主役という形で描かれることが多いため、曹操は敵役として登場しがちだけど(横山光輝は切れ者の相手役ではあったが敵という感じではなかった)。

こちらの作品は相当脚色を入れているものの、割と正史基準になっているので、張奐とか出てくる(そして凄い良いキャラ)。序盤の情報量の多い世界観を描く様は群雄モノとして素晴らしい。

基本的におっさんしかいない世界で書き分けをするのも、そのおっさんが歳をとった状況を書き分けてるのも凄い。

個人的には袁紹の最後あたりまでが超名作。
その後は決めシーンのための作品っぽくなってしまった感じ(もちろんそれでも相当面白いので、パワーダウンしたという印象もないけど)。

劉備も相当曲者として描かれているけど、聖人君子っぽい作品よりこっちの方が地に足がついてるし魅力的。
(孔明が変態だったけど)

話は曹操が亡くなるところで終わるので、三国成立前だけど、とにかく勢いのあって面白い作品。






田中芳樹著、阿部記之監督「アルスラーン戦記」

田中芳樹著、阿部記之監督「アルスラーン戦記」



はい、田中芳樹原作、荒川版のアニメ化という本作。
1期2期を一気に見ました。
全体から言うとまだまだなんですが、とりあえず今の所までの感想を。

まず、キャラクターの絵がとてもいい感じです。
アニメの見やすさとキャラクターの映えがとにかくしっくりきます。
軍勢の戦闘シーンも最近ならではのCGをうまく取り入れてるので、相当数の戦闘であっても全く違和感なく見れます(というか細かい雑兵の動きとかはかなり驚きます)

実はアルスラーン戦記自体は初見だったので、どう落とすんだろう? と思っていたら、そもそも3期待ちだったと言うことに後から気がつきました。
よってストーリーの感想ではなく、単純に漫画化とアニメ化の感想だけになってしまいました。

とにかく3期も楽しみです。





宮城谷昌光著「三国志」


日本でかなり人気な三国志。その中で正史より(というか正史、一部演義の説明もちょっとだけある)なのが、この三国志(宮城谷昌光著) 。かなり詳細な部分からスタートします。



以下、ネタバレ注意。


三国志 第一巻 (文春文庫)
宮城谷 昌光
文藝春秋
2008-10-10


作者は中国歴史に詳しい(というか、読んでいて驚くほどの情報量)の宮城谷氏。
実は氏の作品を読むのが初めてで、今もまだ6巻までしか読んでいないけど、途中までの感想。

まず驚くことに、普通三国志というと、後漢の衰退から表現するために、黄巾の乱とその後の董卓の専横からスタートします。

が、この小説、なんで後漢が衰退したんだっけ? からスタートするため、そのかなり前の皇帝からスタートします。よって1巻の段階では、正直よく知られている人は検索結果曹騰のみ。
三国志に詳しい人でなければ、そもそも誰? という話です。有名な曹操の祖父(宦官)です。

また、物語は(今の所)曹操を起点に歴史書として淡々と書かれているため、読んでも読んでも劉備はつかみどころがない。この辺は当時の曹操からみた印象そのままかもしれません。

ということで、かなりマニアックなところからスタートし、しかも正史メインだからかなり知らない武将が登場する三国志。いわゆる三国志演義では有名なエピソード(貂蝉とか)も完全にすっ飛ばします。
この辺が特に潔い小説です。続きよも。

三国志 全12巻セット (文春文庫)
宮城谷 昌光
文藝春秋



原作:工藤かずや、作画:浦沢直樹「パイナップルARMY」

原作‗工藤かずや、作画‗浦沢直樹「パイナップルARMY」

パイナップルarmy 1 (ビッグコミックス)

 






すごい昔に読んでいたものの、完全に忘れていたので再読しました。

元凄腕の傭兵、今は戦い方のインストラクターをやっている豪士を中心とした殆ど1話完結もの。
1話1話がとても綺麗な読み切りになっており、最後の盛り上がり部分以外はどこを切り出して読んでも楽しめる逸品になっています。

基本は人情ものとハードボイルドのテンプレート。そこに世界の戦争、傭兵的なミリタリーが詰まっている感じです。

以下、ネタバレ注意



上記にある2巻に収録されている、「五人の軍隊」は豪士の昔の傭兵仲間が終結して物語を解決に向かっていく、ストーリー的にもキャラクター的にも開く方向に向かった話です。
この話をベストストーリーと押す人が多い理由もわかります。

基本単発読み切りの中でも、かなり異色を放っています。
ひょっとしたら人気が出なかった可能性の打ち切り用に考えられていた最終話だったのかもしれません。

話はこの後も淡々と豪士の過去や、昔の仲間との話を織り交ぜながら進んでいき、最後の盛り上がりに向かっていきます。

が、どうも最後の話が「あれ、これで終わっちゃうの?」っていう感じでスルッと終わってしまった印象です。もちろんつまらないわけではなく、やっぱり面白いのですが、全体の出来がとにかくいいのでスルッと終わっちゃったイメージ。

この漫画が描かれた当時(85年~)というのは、まだ民間軍事会社の概念が出来るか出来ないかくらいの時代。
戦闘インストラクターという立ち位置も含めて、かなり時代を先どった設定の漫画です。

一話完結の切れ味のいい話を楽しみましょう。



桜坂洋原作、小畑健作画「All You Need Is Kill」

桜坂洋原作、小畑健作画「All You Need Is Kill」

検索用文字:オールユーニードイズキル


[まとめ買い] All You Need Is Kill(ジャンプコミックスDIGITAL)







ライトノベル原作、ハリウッド映画にもなってる切れ味の素晴らしい作品。

の、漫画版です。

ライトノベルの方は読んでないのですが、漫画を前に読み、ハリウッド映画も見て、そしてまた漫画を読みました。

という感想なので、一部ネタバレを含みます。

原作に忠実な漫画と、かなりシナリオに手を入れたハリウッド映画。
どちらも素晴らしいので、まだ見てない人はネタバレ注意。



謎の生物、ギタイからの攻撃に晒されている人類。世界各地も攻め落とされ、防衛戦を張ってギリギリ抵抗している状態。対抗するためのパワードスーツを唯一作れる日本の防衛戦が舞台となります。
新兵のケイジは初戦ですぐに死ぬも、死んだ瞬間に前日に戻される。
ここは所謂ループものなのですが、この物語の肝は、ループをSF として理由付けをしており、そしてもう一人いることです。
ギタイ戦闘で唯一勝ち続けている、リタ。もう一人の主人公です。パワードスーツ生産拠点を守るために投入された、リタと最強部隊。

最強兵士のリタが少女であり、バトルアクスで戦える理由がパワードスーツによるものであるという点。
新兵のケイジが経験を積むことだけで筋力トレーニングなしにベテラン以上の強さになっていくのもこれが基軸です。

リタ、ループ、戦線という仕組みをパワードスーツという仕掛けで上手く纏めています。

漫画では2冊で完結。1巻目はケイジ視点、2巻目はリタ視点と謎部分の説明、そして最後のバトル。

漫画、及び原作では最後は悲しい落としどころになっていますが、小畑健の画力により抜けるような読後感になっています。全編を通して小畑健の絵が強い説得力になっているのと、リタがかわいいです。

ハリウッドのほうはかなり話が違います。
パワードスーツの仕掛けと主人公のケイジという名前は継承していますが、ケイジは新兵ではなく、前線に出る予定がなかった報道官。トムクルーズです。
へなちょこ報道官が死を重ねるごとに強くなっていく、という形で新兵からベテランの仕掛けを表現しています。
そしてリタの秘密にも手を入れて、これがもとになってエンディングが変わってます。
こちらはトムクルーズの説得力ありきですが、ハリウッドらしい通快さと爽快感があります。
シナリオは変えてるものの、原作に敬意をもちつつ、仕組みを継承してるのが素晴らしい。

正直、どちらも最高に良かったです。


オール・ユー・ニード・イズ・キル [Blu-ray]
トム・クルーズ
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2015-06-03